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20240303235947 オイラーの公式
#tech #math
eとは
説明が色々あって、数学的に厳密にしようとするとややこしいが、「微分すると自分自身になる指数関数の底」という定義を理解しておけばよさそう。
(e^{x})' = e^{x} \tag{1}
がわかっている必要がある。
参考文献はこのあたり。
- 原岡, オイラーの公式がわかる.
- ネイピア数eの導入と収束性 | すうがくブログ【式変形ch/教採数学ch】
- ネイピア数 | 定義と収束することの証明について【あの公理と同値なことが決め手】 | 岩井の数学ブログ
eのテイラー展開
eは微分しても変わらない。あと$e(0)=1$なので、20240308121258 テイラー展開 すると(マクローリン展開だけど)、各係数は
\frac{1}{n!}\tag{2}
となる。具体的にはこうなっている。
e^{x} = 1 + \frac{1}{1!}x + \frac{1}{2!}x^{2}+ \cdots + \frac{1}{n!}x^n\tag{3}
sin、cosのテイラー展開
$(\sin(x))' = \cos(x)$、$(\cos(x))' = -\sin(x)$。ここも高校でやったので省略。
微分を繰りかえすと、$\sin(x)$は
\sin(x) \rightarrow \cos(x) \rightarrow -\sin(x) \rightarrow -\cos(x) \rightarrow \sin(x)\tag{4}
と、4回微分すると元に戻る。同じように$\cos(x)$も
\cos(x) \rightarrow -\sin(x) \rightarrow -\cos(x) \rightarrow \sin(x) \rightarrow \cos(x)\tag{5}
と4回で元に戻る。
(4)に$x=0$を代入すると、
0 \rightarrow 1 \rightarrow 0 \rightarrow -1 \rightarrow 0\tag{6}
20240308121258 テイラー展開すると、
\begin{align}
\sin(x) &= 0 + x + 0 - \frac{1}{3!}x^{3} + 0 + \frac{1}{5}x^{5} + \cdots\
&\
&= x - \frac{1}{3!}x^{3} + \frac{1}{5}x^{5}\tag{7} + \cdots
\end{align}
と、$x$が奇数次の係数のみが残る。$\cos$の場合、
\begin{aligned}
\cos(x) &= 1 + 0 - \frac{1}{2!}x^{2} + 0 + \frac{1}{4!}x^{4} + \cdots\
&\
&= 1 - \frac{1}{2!}x^{2} + \frac{1}{4!}x^{4} + \cdots
\end{aligned}\tag{8}
と、$x$が偶数次の係数のみが残る。
eをsinとcosで表現:オイラーの公式
$e^x$のテイラー展開が(3)で与えられているとすると、$x$に$ix$を代入して、
e^{ix} = 1 + \frac{1}{1!}(ix) + \frac{1}{2!}(ix)^{2}+\frac{1}{3!}(ix)^{3}+\frac{1}{4!}(ix)^{4}+\frac{1}{5!}(ix)^{5} \cdots + \frac{1}{n!}(ix)^n\tag{9}
ここで$i$は虚数単位。
i^{2} = -1
を利用して$i$をできるだけ消すと、
e^{ix} = 1 + \frac{i}{1!}x - \frac{1}{2!}x^{2} - \frac{i}{3!}x^{3}+\frac{1}{4!}x^{4}+\frac{i}{5!}x^{5} \cdots + \frac{1}{n!}(ix)^n\tag{10}
i
がついている項とそうでない項を整理すると、
e^{ix} = \left(1 - \frac{1}{2!}x^{2}+\frac{1}{4!}x^{4} + \cdots\right) + i\left(\frac{1}{1!}x - \frac{1}{3!}x^{3}+\frac{1}{5!}x^{5} +\cdots \right)\tag{11}
(11)と、(7)、(8)を見くらべると、
e^{ix} = \cos(x) + i\sin(x)\tag{12}
となっている。これがオイラーの公式。$e^x$やテイラー展開などを複素数領域に拡張してよいのか?というのは証明が必要だけど、
原岡, オイラーの公式がわかる. とか、 オイラーの公式 - Wikipediaあたりを参照。やってよい。
オイラーの公式が表現しているもの
$e^{ix}$は、複素平面上の単位円(長さが1)で、実数部が$\cos(x)$、虚数部が$\sin(x)$となっている。この単位円は電気とか信号処理とかで、よく登場する割と重要な概念。